「いかに美しいことか、山々を行き巡り、良い知らせを伝える者の足は」（イザヤ書52章7節）

1171年頃、スペインのカレルエガで生まれ、13世紀初頭、歴史が大きく変動する時代に活躍しました。

神学生の頃、ひどい飢餓に人々が苦しんでいるのを見て、「人が飢えて死んでいく時、死んだ皮の上で勉強していることはできない」と自分の持ち物、大切な羊皮紙の聖書まで売り払い、施しをしました。ドミニコはコンパッション（共苦共感）の人と呼ばれます。

ある時、若いドミニコは司教のお供としてヨーロッパを北上する旅の途中で、カタリ派と呼ばれる南フランスを中心に広がっていた異端と出会いました。霊と物質を対立させる二元論で見える世界や人間の身体を否定するカタリ派は一見きわめて宗教的でしたが、人間の救いにつながるものではありませんでした。ドミニコはトゥールーズの宿主が熱心なカタリ派と知ると夜を徹して語り合いました。相手を打ち負かそうとしてではなく、自分が確信するところを相手に伝えようとして語り合い、宿屋の主人は明け方回心へと導かれました。ドミニコは対話の人と呼ばれます。

ドミニコは喜びに溢れた福音的な貧しい生き方で、夜は神と対話し、昼は福音を人々のもとに運ぶため、南フランスやスペインの平原を巡り歩きました。ドミニコは神について神と共に語りました。彼の説教を聞いた多くの若者が、その魅力に惹かれて彼のもとに集まってきました。 こうして「説教者兄弟会」すなわち「ドミニコ会」が誕生しました（1216年）。

聖ドミニコ学院は聖ドミニコの精神をくんだ「聖ドミニコ女子修道会」を設立母体とする学院です。神の子イエス・キリストの生き方を通し、人々に救いを告げることを求め続けた聖ドミニコを模範とし、希望と喜びのうちに成長することを目指して本学院は創設されたのです。

聖ドミニコ学院の保護者　シエナの聖カタリナについて

シエナの聖カタリナ（1347～1380）は、イタリア中部のシエナの町の裕福な染物屋の24番目の娘として生まれました。幼い頃、ドミニコ教会の塔上にキリストの幻を見、17歳でドミニコ会第三会に入会。深い祈りとキリストとの一致によってペストが蔓延する町で病人を看護し、囚人を訪問し、教会分裂時代にアヴィニオンに居を定めていた教皇をローマにひき戻す使命を成し遂げました。聖カタリナの帰天日である4月30日は、本学院の創立記念日となっています。